正常な妊娠
本文をすべて読まれ、不妊症の検査と治療についてはかなり理解されたことと思います。読みながら、思わず涙が流れてしまったという方もいるでしょう。その理由はただ一つ、あなたが心から赤ちゃんが欲しいと望んでいるからにほかなりません。治療が順調に進み、妊娠判定が陽性になれば、それはもちろん素晴らしいことです。一連の不妊検査を受け、治療を乗り越え、妊娠していることがわかったのですから、最大の夢が実現したような感じでしょう。感情が高まり、喜び、不安、希望、安心、興奮で、胸が一杯になると思います。
妊娠判定が陽性になることは、非常に大切なことで、我が子を抱きしめるという最終目標を達成するための一歩として、おおいに力づけられる出来事でしょう。とはいえ、妊娠初期には、まだたくさんの検査を行わなくては、正常に妊娠が成立したとは断定できないのです。
妊娠判定が陽性になったら
実は、妊娠判定が陽性になったといっても、体内でヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG/胎盤になる組織から分泌されるホルモン)がつくられているというだけのことなのです。つまり、受精卵が体内のどこかに着床した証拠にはなっても、それが正常な妊娠かどうかについてはわかりません。もちろん、ほとんどの場合は、妊娠判定が陽性であれば、うれしいことに妊娠が正常に成立していると思われます。
とはいうものの、不妊治療を受けた後の妊娠は、自然妊娠と比べると、流産の確率がわずかに高くなることも知っておいたほうがよいでしょう。これは、不妊治療を受ける女性には比較的高齢な人が多く、中には多胎妊娠の確率がやや高くなる治療もあるためかと思われます。また、この段階で、子宮外妊娠が起きている可能性もあります。妊娠早期に超音波検査を受ければ、もっと詳しくわかるでしょう。
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早めに経腟超音波検査を
通常、妊娠判定が陽性になったら、2週間以内に妊娠が正常に成立しているかどうかの早期診断を受けるため、超音波検査の予約をします。
この段階は妊娠のごく早期ですが、一般的に1個(または、それ以上)の胎嚢(たいのう)を確認できるはずです(正常妊娠の場合は、やがて胎児になる胎芽と、それを包み込む胎嚢と呼ばれる袋が見えます)。超音波検査を行うことで、子宮外妊娠かどうかの診断ができるほか、単胎妊娠か多胎妊娠かが見分けられ、胎芽(赤ちゃん)の心拍(心臓の動き)も確認できます。はっきり確認できなかった場合は、少なくとも1週間以上あけて、再び超音波検査を行います。
早期の超音波検査で赤ちゃんの心臓が動いていることが確認された場合は(心拍陽性)、望ましい方向に向かって、とても大きく踏み出したことになります。この時点までくれば、一安心です。初期流産になる可能性は、減ったと考えてもよいでしょう。不妊治療を行ってきた主治医は、院内でさらなる妊娠検査を行うべきか、または定期的な妊婦健診のモニターのため、ほかの産科のある病院に転院すべきかどうか、あなた方とともに、その時期などについて検討します。とくに、多胎妊娠の場合は、産婦人科医による定期的なモニターが不可欠です。
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不妊治療による妊娠
ここまでくると、いろいろな感情が入り乱れることと思います。一方では、ここまで到達したことに喜びを感じ、他方では妊娠してもこの後うまくいかないのではないかと不安に思うかもしれません。こうした不安が生じるのはもっともなことです。不妊治療という厳しい試練を体験したカップルは、この不安からなかなか逃れられないと感じることが多いようです。あなた方二人は、ほかのカップルのように妊娠を手放しで祝うことはできないかもしれませんが、このときを一緒に喜べるように最善をつくしましょう。
すべてがうまくいくと保証してくれる人はいませんが、不安があっても正しく理解するよう努めることが重要です。たとえば、あなた自身が対処できる問題もたくさんあります。健康的な生活習慣と食生活が、順調な妊娠経過につながることは間違いありません。また、しっかりと休養を取ってリラックスすることも、とても大切です。
ただし、あなたにはどうすることもできない合併症という問題もあります。一般的に、合併症が生じる確率は高くありませんが、誰にでも起こる恐れはあります。ですから、どのような妊娠にでもありえる、ごく一般的な心配事なのです。「合併症が起こるかもしれないと心配しても、合併症が予防されるわけではない」と思うように努めれば、多少なりともリラックスしやすくなり、妊娠を素直に喜ぶことができるようになるかもしれませんね。
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