生殖補助医療不妊症を乗り越えるために、排卵誘発剤を使ったり、外科手術を行ったりしますが、こうした方法を用いても、不妊症に悩むカップルの問題がすべて解決できるわけではありません。解決できなかった場合は、あなたもパートナーも、生殖補助医療(ART)として知られる最先端の治療法を受けることを考えなくてはならないでしょう。中には、ART以外には選択肢がないというカップルもいます。ARTでもっとも多く用いられている手法は、体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)です。日本では、65人のうち1人の子どもが体外受精または顕微授精を受けて誕生しています。 体外受精の前提条件として、良質の卵子が採取でき、精子が正常でなくてはなりません。卵子の質は、女性の年齢が高くなるにつれて低下します。不妊症の分野は進歩していますが、卵子の質の低下はどうすることもできません。一方、精子を採取できる可能性は大幅に増え、顕微授精を用いれば、非常に少ない精子でも卵子を受精させることが可能になっています。適切な卵子がない(なくなってしまった)場合は、卵子の提供を受けるという方法を中心に考えることになるでしょう。精子がない(適切でない)場合は、ドナー精子を検討することができます。日本では、卵子の提供の可否について議論されていますが、現状では実施が認められていません。 不妊治療が進歩したといっても、確実に成功するわけではありませんが、成功率は向上しています。日本では、体外受精や顕微授精の実施数は年々増加しており、2004年には新鮮な胚を使った体外受精が約42000件、顕微授精が約45000件、そのほか凍結融解胚(受精卵)を用いた治療が約30000件実施されています。 このセクションでは、体外受精や顕微授精などの最新不妊治療について詳しく述べますが、人工授精、ドナー卵子とドナー精子の利用、代理母などについても触れることとします。 |